「村上春樹が好き」と言えない

もう丸5日、外に出ていない。

いや、少しは出たかもしれない。

うまく思い出せない。

出たかもしれないし、出ていないかもしれない。

（あるいは既にここが外なのかもしれない）

・・・

本ブログで両者ともに何度か言及している、村上春樹さん。

僕は彼のことで、結構長い間悩んでいました。

読み始めたのは、大学一年生の頃でした。

大学生の頃と言えば誰でも、周囲がヨッ友で溢れかえり、

いかに中身の無い会話をするかを競うように

希薄な関係構築に勤しんでいたことかと思います。

「暇なとき何してるの〜？」

「本読むとかかなー」

「へー、どんなの読むの？」

「・・・色々！」

どうしても言えませんでした。

長編は全部読んでいるので割と好きな作家ですが、なんかだ言えない。

今はもういいやと思えて来ましたが、

自意識過剰な僕にはどうしても言えませんでした。

ひとつ、トラウマというか、思い出したことがあります。

長編小説『騎士団長殺し』が発行された、2017年2月のことです。

以前から村上さんが新刊を出すと、書店に深夜からめちゃくちゃ人が並ぶ様子が

テレビで流れます。

読者でなかった頃は、いや新型iPhoneかよと思いながら眺めていましたが、

いざ自分が買うとなると不安になってきました。

当時大学生だった僕は、大学のブックセンターで事前に予約を取って、

朝一に買いに行くことにしました。

ブックセンター側も、村上さんの新刊ということで気合が入り、

普段より1時間早くオープンすることになっていました。

やはりすごいんだなと。

こりゃあ随分と並びそうだなと。

予約しているとはいえ、いくらか食糧を持って行かないとまずいなと。

そして当日。

少し寝坊してしまった僕は、慌てて電車に飛び乗りました。

これはまずいと走って大学に向かうも、

開店時間を10分ほど過ぎていました。

仕方ない、持参したアンパンをかじりながら気長に待つかと思いながら

店内に入ると、

「あーー、来たーーーー！！！」

店員たちの歓声

いつになく飾り付けられた店内

ひとりもいない客

急に帰りたくなった僕

「写真撮らせてください！」

なぜか始まる撮影会

やれやれ

帰り道にスマホを開くと、

記念すべき第一号購入者としてTwitterに晒されていました。

いや許可くらい取れよ。

でも、

写真撮らせてください！

なんて言われたの、思えばあれが僕の人生では最初で最後でした。

それでも、消費者として崇められるよりも

生産者として評価されたいものです。

（良いこと言った）

日付としては本日の23:59までに、

卒業制作の提出です。

完璧なアプリケーションなどといったものは存在しない。

（以下略）

少し寝ます。

佐藤